
はじめまして。組織開発と採用支援をしている株式会社ほのおのうず代表の山下です。
自分の業務を進めながら、ほかの人に仕事を頼む場面は毎日のようにあると思います。
しかし、仕事を頼んだそばから「これはいつまでですか」「どの資料を見ればいいですか」と質問が返ってくる。答えているうちに、自分の手も止まる。そんな経験も少なからずあると思います。
今日はそんな状況から脱するためのお話です。
部下は「指示が曖昧」に、上司は「指示待ち」に困っている
Job総研(パーソルキャリア)が2026年6月に発表した「2026年 上司と部下の意識調査」(JobQ Townに登録している20〜50代の社会人421人、2026年5月実施)に、上司と部下それぞれの困りごとが並んでいます。
部下の62.3%が、上司との関わりで困っていると答えました。その241人に具体的な困りごとを聞くと、最も多かったのは 「指示が曖昧」で43.2% です。
一方、上司の69.9%も部下との関わりで困っていると答えています。その95人の困りごとの上位は「主体性を感じにくい」46.3%と 「指示待ちが多い」45.3% でした。

同じ調査で、部下が上司から言われたくない言葉の1位は「言わなくても分かるでしょ」(46.8%)でした。部下が上司について知りたいことの1位は「自分に期待していること」(38.0%)です。
※上司の回答者は136人と少ないため、数字は傾向として読むのが適切です。
この調査は上司と部下に聞いたものですが、仕事を頼む人と頼まれる人の関係は、先輩と後輩や、部署間など多岐に渡ります。
ここからは推測ですが、頼む側の「指示待ちが多い」と、頼まれる側の「指示が曖昧」は、同じ一つの依頼から生まれているのではないかと考えています。頼む側は「言わなくても分かるだろう」と考えて情報を省きます。受け取る側は、何をどこまでやればよいか分からないので、聞くか、指示を待ちます。その様子が、頼んだ側には「指示待ち」に見えます。調査が示しているのは困りごとが並んでいることまでで、片方が片方の原因だと決まったわけではありません。しかし、個人的にこのケースは「頼む側が悪い」と思っています。
依頼に質問が返ってくるのは、情報の伝達不足
この問題の原因は見出しの通りです。頼んだ側は、相手の時間を無駄に奪っている自覚を持ちましょう。
質問が1つ返ってくると、頼まれた人は手を止め、頼んだ人の手が空くのを待ち、答えを聞いてから作業に戻ります。頼んだ人も自分の仕事を中断して答えます。1回は数分でも、毎日の依頼で積み重なると、チーム全体の時間の使い方が変わります。
質問してもらえるうちは、まだ取り戻せます。同じ調査では、部下の困りごとに「話しかけにくい」も31.5%挙がっていました。聞けなかった人は、足りない情報を自分で推測して進めます。推測が外れれば、やり直しになります。これが最悪のパターンです。
じゃあどうすれば良いのか。大切なのは「分かっているはず」は通じない、受け手がどう感じるかが全て、ということです。頼む側の頭の中では目的も期限もはっきりしていても、それが言葉になって相手に届いていなければ、相手にとっては存在しない情報です。
社員が少人数のころは隣の席の会話で伝わっていたことも、人が増えると途端に伝わらなくなります。「言わなくても分かる」が通じた時期のやり方のまま頼んでいると、質問はそのぶん増えていきます。
なお、質問そのものが悪いわけではありません。仕上がりを確かめるための質問は、仕事の質を上げます。それでも、質問のやり取りが多いと互いにストレスにつながるのは明白です。減らすべきは、最初に渡せたはずの情報が足りずに出てくる質問です。
聞き返されずに動いてもらえる、仕事の頼み方
ここからはすぐ実行できる方法を3つ紹介します。立場に関係なく、仕事を頼む人なら誰でも使えます。取り入れやすいものから試してみてください。
1. 頼む前に、相手が聞き返しそうなことを先に書き出す
依頼を出す前に、受け取った人が聞き返しそうなことを書き出してみてください。多くの場合、次の5つのどれかです。
- 目的:何のための仕事か、できたものを誰が何に使うか
- 仕上がりの形:何を、どの状態まで仕上げればよいか
- 期限:最終の期限と、途中で一度見せてほしいタイミング
- 任せる範囲:どこまでは自分で決めてよいか、どこからは相談してほしいか
- 材料:参考になる資料や過去の例、詳しい人は誰か

ここに「なぜあなたに頼むのか」を一言添えると、部下が上司について知りたいことの1位だった「自分に期待していること」も同時に伝わります。
2. 口頭で頼んだら、要点を文章で残す
急ぎの依頼ほど、口頭で済ませがちです。サイボウズが2026年5月に発表した「建設業界における業務効率化の実態調査(2026年)」(建設業に従事する1,000人、2026年3月実施)では、手戻りの要因として最も多く挙がったのが 「指示・連絡が口頭や電話のみで行われ、内容が正確に伝わらないこと」(43.9%、複数回答・724人) でした。建設業に限った調査ですが、口頭だけの依頼で内容が正確に伝わらない場面は、ほかの業種でも起こりえます。
話して頼んだあとに、1の5つを3〜5行のメッセージで送っておくと、頼まれた人は作業の途中で見返せます。書いている途中で、頼む側が自分の伝え漏れに気づけるのも利点です。
3. 返ってきた質問を、今後の糧にする
質問が来たら答えるだけで終えず、その質問を書き留めておいてください。2〜3週間ためてみると、自分の依頼で抜けやすい情報が見えてきます。期限を書き忘れやすい人もいれば、目的を省きやすい人もいます。
抜けやすい情報が分かったら、次の依頼では最初から入れておきます。同じ種類の質問が減っていけば、伝え方が変わった印になります。
相手の仕事について「なぜこの進め方にしたのか」を聞く場面があるなら、同じ問いを、依頼する自分にも向けてみてください。「なぜこの仕事を、この期限で、この人に頼むのか」を説明できる状態で頼めば、返ってくる質問は自然と変わります。
まとめ
部下の困りごとの1位は「指示が曖昧」、上司の困りごとの上位は「指示待ちが多い」。この2つは、同じ依頼を頼む側と頼まれる側から見た姿かもしれません。
依頼に質問が返ってくるのは、情報の伝達不足です。
頼む側の伝え方で、相手の時間は守れます。
守れた時間は、考えることや、お客様のための仕事に使えます。まずは依頼する前に上記の5つの情報がそろっているかを確かめてから渡してみてください。
少しでもこの記事がみなさんの組織力の向上のきっかけになれば幸いです。
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